分子遺伝学の発展はモデル生物の存在のおかげ

白毛・赤目のアルビノ個体が多い

生物学では、研究分野の発展に合わせてさまざまなモデル生物が使われてきました。なかでも、遺伝子を扱う分子遺伝学の分野では、特定の生物への研究の集中が著しいと言えます。

モデル生物には、扱いやすいサイズで、観察しやすい、入手や維持が困難ではない、などさまざまな条件が求められます。遺伝学、特に分子レベルの遺伝学では、世代交代が早い、ゲノムサイズが小さい、遺伝子組み換えができるなどの条件が重要になります。

また、ゲノム配列が解読されると、その生物のモデル生物としての有用性は益々高くなります。モデルの生物の代表は、大腸菌、ショウジョウバエ、マウス、ゼブラフィッシュ、シロイヌナズナ、イネなどが挙げられます。

世界中の研究者が、同じモデル生物を扱うことで、研究を効率よく進めることができます。対象が同じ生物であれば、研究結果や研究材料を共有し、胸痛の知識を蓄積できることが出来るからです。

以前は、モデル生物の代表と言えば大腸菌でした。世代交代は最短で20分と非常に短く、寒天培地で、1つの細胞と同一の遺伝子を持った株が無数に手に入ります。大腸菌のプラスミドで、遺伝子組み換え技術が実用化されました。現在も大腸菌なしには、分子生物学の実験は進みません。

真核生物のモデル生物ではショウジョウバエの歴史が古いです。産卵数は1日に約50個、10日ほどで成虫になります。体長2~3mmで、試験管でも飼育が可能です。アメリカの遺伝学者モーガンが白い眼の突然変異を発見して以来、体の色などの突然変異が見つかりました。

それらを用いて、染色体地図が初めて明らかにされました。エックス線照射で突然変異を起こせるようになり、ゲノムが解読され、遺伝子導入の技術も確立し、ショウジョウバエの重要性は非常に高いです。

モデル生物の存在なくして分子遺伝学の発展は語れません。ただし、モデル生物は便利さから選ばれたものであり、決して生物の生命現象の全てを表す代表ではないことを念頭に置いておく必要があります。